京都市内では通り名をつけて特定する住所表記が使われてきました。
この理由として以下の2つを考えています。
・京都市中心部は通りが東西と南北にまっすぐに通っていることから、どのあたりかわかりやすくするため。
・同名の大字が複数あるケースが多くあり、それを特定するため。
通り名住所という表記方法が先で、これがあるから同名大字が複数存在しても困らないのかもしれません。
例えば、日本郵便の京都市中京区(なかぎょうく)のページでは、中京区内に「油屋町」として別々に2つの郵便番号(604-8063、604-8103)が割り当てられていて、それぞれが同名ながら別の大字として存在することを示しています。
では通り名住所の表記方法はどうなっているかと言うと、通り名2つで交差点を特定し、この交差点から大字まで道案内する要領でたどっていく、ということになっています。
例)京都市役所
京都市 中京区 寺町通御池上る 上本能寺前町 488番地
構造はこのようになります。
住所構造:案内文言+大字+番地
(上記のうち、)案内文言:通り名1+通り名2+方向
京都市役所の住所例ではこのようになります。
通り名:寺町通り、御池(通り)
方向 :上る
最初の2つの通り名で「交差点」を示します。
例では寺町通りと御池通りの交差点で、これが道案内の基点になります。
なお、住所地にある建物が面する通りを、基本的に1つ目の通り名にします。
また、2つ目の通り名は、末尾の「通り」という文字を省略する習慣です。
次に方向です。
東:東入る、東入(ヒガシイル)
西:西入る、西入(ニシイル)
南:下る(サガル)
北:上る(アガル)
このうち、「上る」「下る」の読み方は注意が必要です。
文部科学省が指定した表記と読みの組み合わせは、
上がる-アガル、上る-ノボル
下がる-サガル、下る-クダル
ですが、京都市内ではこのルールは通用せず、フリガナの「が」を省略します。
こうしていよいよ大字名になりますので、住所例の場合、「寺町通りと御池通りの交差点」から「北」に進んだところにある「上本能寺前町」ということになります。
なお、「北に進んだところ」とはその周辺のことであり、最終地点が通りの右側か左側かはわかりません。
京都市内は「両側町(りょうがわちょう)」と言って、同じ通りの両側の地域が一つの「町」を形成してきた歴史がありますので、この表記が適していたと思われます。
京都市役所の場合は、案内文言の示す領域のうち、東側にありました。
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京都市役所は「寺町通り」「御池通り」の他に、「河原町通り」「押小路通り」にも面しているので、別の通り名住所の表記も可能です。
このあたりのことがよくまとまっているサイトを紹介しておきます。
ジオどす 京の通り名
「ジオどす」の調査・開発担当の上田と申します。
返信削除ご紹介どうもありがとうございます。
京都の住所は奥が深くて調べていても楽しいですね。
今後ともよろしくどうぞ。
Naoさん、早々のコメントありがとうございます。
返信削除「ジオどす」関係者から直接コメントをいただけるとは思ってもいなかったので、とてもうれしく思っております。
京都の住所の奥深さに感心して唸りつつ、調べながら楽しんでおります。
ブログの更新頻度はよくないのですが、ぼちぼち行きますので、こちらこそよろしくお願いいたします。