2011年8月21日日曜日

番地号の表記(5) 集合住宅の住居表示例

前回に引き続き、集合住宅の住居表示についてです。
今回は集合住宅の住居表示の例をいくつか見ていきます。

通常の一戸建ての場合の「番」に相当する「街区符号」を中心に見ていきます。

例1)高島平2丁目28番3-xxx号室
建物壁面表示:2-28-3

高島平団地は東京都板橋区が誇る大規模団地です。
建物壁面の表示は3レベルで「丁目-番地-番地内棟番号」を示しています。
建物壁面の表示がハイフンで区切られた丁目以降の住所そのままで、最もわかりやすいパターンです。
法律上の町字は大字と丁目をひとかたまりにした「高島平二丁目」ですが、
「2丁目」は実態として「高島平」の2番目の区域なので、実態に即した表記と言えます。
そのうち立て替えられてしまうかもしれないのでストリートビューのURLとその画像も貼っておきます。


例2)竹山2丁目4番2405号棟xxx号室
  建物壁面の表示:2405
竹山団地は神奈川県横浜市緑区竹山1~4丁目に広がる大規模団地です。
建物壁面の表示は4桁の値で「丁目+番地+番地内棟番号」を示しています。
住居表示住所を示す場合、丁目や街区の番号を2度書くような煩わしさがありそうです。
ストリートビューのURLとその画像も貼っておきます。

例3)桐ヶ丘1丁目1番E34号館xxx号室
  建物壁面の表示:E34
都営桐ヶ丘アパートは東京都北区桐ヶ丘1~2丁目、赤羽台3丁目に広がる大規模団地です。
建物壁面の表示は3桁で「地区+地区内棟番号」を示しています。
WはWESTで西、EがEASTで東、NがNORTHで北ということです。
ストリートビューのURLとその画像も貼っておきます。

例4)津雲台2丁目2番C-32棟xxx号室
  建物壁面の表示:C-32
千里津雲台団地は大阪府吹田市津雲台2丁目にある団地で、吹田市と豊中市にまたがる千里ニュータウンに含まれる団地の1つです。
建物壁面の表示は3桁で「アルファベット1桁+地区内連番」を示しています。
千里ニュータウン内の12団地をざっと見たところ、このアルファベット1桁は、
A大阪府住宅供給公社、B大阪府、C都市機構
と団地の所有者を示しているようです。
複数業者が開発した場合の地域的なまとまりの1パターンです。
ざっと見た限りの判断なので、詳細をご存知の方はお知らせください。
ストリートビューのURLとその画像も貼っておきます。

例5)幸町2丁目14街区11号棟xxx号室
  建物壁面の表示:14-11
幸町団地は千葉県千葉市美浜区幸町2丁目にある団地です。
法律上の「街区」は道路等で囲まれた領域ですが、この地域の街区には街区を貫通する小道がいくつかあり、住居表示法上の街区をいくつかまとめて1つの街区にしているように見えます。これは実施基準で特例にある、道路幅4m以上の道路で区切られた領域を1つの街区としていいという条項を適用したものと思われます
あえて「番」を使わずに「街区」という文字を使っているあたり、なんらかの事情があるように思います。
建物壁面の表示は2レベルで「地区+地区内連番」を示しています。
団地すべてが2丁目に収まっているためか、建物壁面にあえて「2」は表示していないようです。
ストリートビューのURLとその画像も貼っておきます。

このように住居表示法およびその実施基準を踏まえてそれぞれ工夫した住所表示となっています。
結果として全国的には表記が統一されていますが、その示す内容には多少の地域差があります。


2011年8月20日土曜日

番地号の表記(4) 集合住宅の住居表示

今回は集合住宅です。
1つの建物に複数の住居がある場合の番地号について書きます。
旧自治省告示「街区方式による住居表示の実施基準」(pdf)(三重県鈴鹿市の公式サイト)

には3つの表記例が挙げられています。
なお、用語は「番地号の表記(3) 基礎番号とフロンテージ」を参照してください。

(1)集合住宅が1つの基礎番号内にある場合
 街区符号(番地):「基礎番号」(建物入り口の街区外周線上の位置)
 住居番号(号):「各戸の番号」
 例えば、1棟だけのマンションなどです。


例)中央4丁目1番 △△マンション405号室
 →中央4丁目1番405号

・街区符号(番地):1
 住居番号(号):405

(2)集合住宅群が1つの街区内にある場合
  住居番号(号):「棟番号-各戸の番号」
 街区符号(番地):「基礎番号」(建物入り口の街区外周線上の位置)
 例えば、街区内に複数の棟がある団地などです。

例)中央4丁目1番 □□マンション3号棟405号室
 →中央4丁目1番3-405号

・街区符号(番地):1
 住居番号(号):3-405

(3)集合住宅群が複数の街区にまたがっている場合
 街区符号(番地):「棟番号」
 住居番号(号):「各戸の番号」
 例えば、複数の街区にわたる団地などです。


例)中央4丁目 ○○団地3号棟405号室
 →中央4丁目3番405号

・街区符号(番地):3
 住居番号(号):405

特に上記の(1)と(3)は表記が同じになるので、街区符号(番地)が「街区の基礎番号」か「団地の棟番号」なのか、住所からは判断ができません。
集合住宅はこの「実施基準」を踏まえてそれぞれ工夫した住所表示となっています。
結果として全国的に表記は統一されていますが、その示す内容には多少の地域差があります。


 

2011年8月15日月曜日

番地号の表記(3) 基礎番号とフロンテージ

「中央1丁目2番3号」という住所の場合、
「2番」:法律では「街区符号」。一般的には「番地」
「3号」:法律では「住居番号」。一般的には「号」
といいます。


今回はこの「3号」にあたる一般的に「号」と呼ばれている部分のお話です。
「号」は住居の入り口の位置が「街区の外周線」のどの位置にあるかで決まります。
つまり、従来の地番のような面の領域ではなく、地点を示す点の位置でもありません。

街区の外周を一定間隔で区切って「基礎番号」という番号をつける際の、一定間隔を「フロンテージ」といいます。
「フロンテージ」は市区町村で定めます。だいたい10m~15mくらいです。
基礎番号は住所のうち「号」に当たる部分の元になる値です。
割り当て方は、市区町村の中心に近い角から右回りに番号をつけていきます。


このあたりの図解は以下のサイトがわかりやすいです。
計画・財政・施策/住居表示(三重県鈴鹿市の公式サイト>行政ガイド)

基本的なことは以上です。今度はちょっと変わった例を見ていきます。

(1)基礎番号の境目に入り口がある
建物の入り口が丁度、基礎番号の境目にある場合、小さい方の番号を採用します。


(2)1つの基礎番号に複数の建物がある
例えば、
・間口の狭い建物が並んでいる。
・街区内に袋小路があり、その袋小路沿いに複数の建物がある。


このような場合、基礎番号だけでは別の建物なのに同じ住所になってしまいます。
そこでこのような場合、住居番号は「基礎番号-枝番」になります。


例)中央4丁目1番2号 を入り口とする鈴木さんと佐藤さんの家
  中央4丁目1番2-1号 鈴木さん宅
  中央4丁目1番2-2号 佐藤さん宅 など。


(3)1つの建物が複数の基礎番号を持つ
例えば、
・大きな建物で、主たる入り口がいくつもあり、それらが別々の基礎番号の位置にある。


ビルには非常口があるので入り口が複数ということはごく普通です。
どれが「主たる入り口」かということは、市区町村長が決めてしまいます。
ところが街区外周に沿ってお店の入り口が並んでいるような場合、各戸の主たる入り口は別々です。
このように「主たる入り口」が別々の基礎番号の位置に複数ある場合、たとえ同じ建物のお店であっても「号」が異なります。


例)中央4丁目1番 の大きな建物の街区外周に沿ってお店が並んでいる場合
中央4丁目1番1号 八百屋さん
中央4丁目1番2号 靴屋さん など。


住居表示の魔界はまだまだ続きます。

2011年8月14日日曜日

番地号の表記(2) 住居表示の基本

従来の「地番」はもともと地租納税のための番号であり、道案内に不向きで不便なことがありました。
・番号があちこちに飛んで位置的に連続しないため、どのあたりかわからない。
・配達で誤配や遅配が多い。
・消防などの現地到着が遅れたり、訪問者がたどり着けなかったりする。
・分筆や合筆があった場所は枝番がついて住所が長くなることがある。


そこで、位置がわかるような住所にしようということで、
1962年に「住居表示法」が施行されました。
住居表示に関する法律(総務省:電子政府の総合窓口e-gov)


自治省告示。実務上の注意点です。
街区方式による住居表示の実施基準(pdf)(三重県鈴鹿市の公式サイト)

 
住居表示には「街区方式」と「道路方式」の2つの付番方法がありますが、ほとんどすべての地域で街区方式が採用されています。道路方式は例外的に山形県東根市の一部で採用されただけです。(他に採用した地域があればお知らせください)

「街区方式」の基本は以下のとおりです。
・町字内部に恒久施設で区切られた領域「街区」を設定する。

 ここでの恒久施設とは、道路などの長期間変化しない線状の地物のことです。
・街区ごとに「街区符号」(一般的には番地)をつける。

・街区の外周を一定間隔「フロンテージ」ごと区切って「基礎番号」をつける。
・住居入り口位置の基礎番号に基づき「住居番号」(一般的には号)をつける。


例)中央4丁目1番2号
 「1番」:法律では「街区符号」。一般的には「番地」
 「2号」:法律では「住居番号」。一般的には「号」


このあたりの図解は以下のサイトがわかりやすいです。
計画・財政・施策/住居表示(三重県鈴鹿市の公式サイト>行政ガイド)

なお、従来の地番は無くなったわけではなく、土地を面的に管理する際には引き続き使われます。
つまり、住居表示地域では、従来の地番住所と住居表示住所の2つの住所があることになり、住居表示の住所を「用いるように努めなければならない」(住居表示義務)とされています。